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米澤穂信「満願」感想・書評。ダークなミステリーを集めた渾身の一冊

ねこ

米澤穂信さんの「満願」の感想・書評です。満願は2014年の直木賞にノミネートされている短編集ですがネタバレなしのレビューをどうぞ。

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米澤穂信「満願」感想・レビュー

米澤穂信さんの本を読み始めた理由はTVアニメ化された「氷菓」を見たからです。

アニメ好きからは絶大な支持を受けている京都アニメーション制作の本編は素晴らしいの一言でした。個人的には涼宮ハルヒの憂鬱やCLANNADを凌ぐ最高傑作だと思っています。

派手な動きで魅せる活劇ものではないのに、エピソード一つ一つの深さを際立たせる美麗な映像造りはさすが。当初ミスキャストと思っていた(ごめんなさい)ヒロイン役の声優もフタを開けてみればこれ以上ないハマり役でした。本当に丁寧に作ってある事がわかります。

話は逸れましたが、アニメがこんなにいい出来なら活字で読んでもこれは面白いんじゃないかと思いKindleで手を出してみたわけです。アタリでした。マンガ版も全巻買ってしまいました(続刊中)。

そこから色々な作品を読み出し今に至ります。今回は最新作である「満願」の書評。それでは以下からどうぞ。

米澤穂信-満願01

エンタメ色は強くない

満願は全6編からなる短編集です。話に繋がりはなく独立しているので、文体の根幹は同じでも米澤さんの様々な技巧を味わえる一冊。

ある警官の進退と心情を綴った「夜警」、時間制限つきの謎解きと時の経過を描いた「死人宿」、コケティッシュで怪しい魅力に満ちた「柘榴」、ロジカルでグローバルな運びに息を飲む「万灯」、世にも奇妙な物語を思わせる「関守」、そして表題作である「満願」。

記事タイトルでも言っているように基本的に明るい雰囲気ではありません。氷菓や小市民シリーズのような青春ものと打って変わってダークでおどろおどろしい展開の作品ばかり。はっきり言ってしまうと全編通して後味が悪いです。

米澤さんは「日常に潜む謎」とも言うべき材料でミステリーを組み立てるのですが、本作は「どうして銃を撃ったのか?」や「なぜ件の峠では毎年人が死ぬのか?」など日常と言うよりはやや浮世離れした設定が目立ちます。

 

米澤さんの魅力

ミステリー、そして小説に限らず「伏線」というのは話を魅力的にみせる大事な要素だと思いますが、米澤さんは伏線の張り方がバツグンにうまいですね。それは今作でも窺い知る事ができます。俗に言う十戒・九命題・二十則。

世のほとんどの作品はもちろんこれに則っているのですが、「推理はできないけど多分これ伏線だろ?」と気づいてしまうものが多いんですよね。しかし米澤さんの作品はライトな文体でサクサク読める事も相まってそれが伏線である事になかなか気づけないのです。

日常の謎をテーマにした作品では特に顕著ですが、一つ一つが小さなパーツである事も理由でしょう。事件と関係ないだろうと思わせるパートにこっそりとエッセンスを置いていく。それが積み重なって答えが明かされる瞬間はカタルシスさえ感じられます。

でもおそらく書評でそれが挙がる事は多くないと思います。先の通りそれぞれが何気ない場所にちりばめられているので、きっと作品を代表する魅力のように書かれる事は少ないのではないでしょうか。

個人的には技術がなくてはマネできないその構成力こそ米澤さんの魅力だと思っているのですが。

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一風変わった「柘榴」、個人的には「万灯」

そんな魅力は本作でも随所に見られます。「夜警」と「死人宿」はよく出来たミステリー、プラス登場人物の心情の変化が読ませる良作です。最後の一文まで鮮やか。

全編がミステリーと括られていますが、6作品の中で「柘榴」・「関守」・「万灯」はサスペンスに分類されます。

中でも離婚する一家の行く末を綴った「柘榴」は今までの作品と毛色の違うもの。激しい表現でないのに官能的な風味を漂わせ、なんとも微妙な読後感を持たせる独特の一本。

事故の多い峠を都市伝説のネタとして取材に行く「関守」はホラーとしてのエンタメ色が強いと言ってもいいかも。最後のやり取りに技巧も凝らしてあったのですが唯一途中でオチが読めてしまったのが残念。話自体はとても楽しめました。

個人的には「万灯」がイチオシ。ある商社のビジネスマンの記憶を遡っていくものですが、段々と追いつめられていく主人公が余裕を失っていく様子と後半からラストにたどり着くまでの論理的展開が見事。

僭越ながら私がタイトルをつけるなら「袋小路」としたかも。でもそれはラストだけのもので、話の流れを汲んで考えると万灯の方がふさわしいですね。

バングラデシュの資源開発を目的として現地の村の首長を殺し、共犯の日本人も殺した主人公。露見するはずのない完全犯罪が小さな綻びから決壊していく様は米澤さんの真骨頂。

表題作となる「満願」に関しては実際にお手に取ってどうぞ。一遍くらい感想なしというのもレビューにはいいでしょう。とても良かったですよ。

ただ、続き物の2シリーズ(古典部シリーズと小市民シリーズ)は登場人物が高校生なので自然とその身の丈に合った舞台とそれを利用したトリックが使われるわけですが、短編はトリックの為に後付けで舞台が用意された、みたいな違和感が少しあります。現実味がやや薄いというか。

 

直木賞ノミネートにふさわしい渾身の一冊

よりライトなシリーズものと比べると相当に文学的な作品。両者に共通して「派手さに欠けるかもしれないが丁寧な筆の運びはさすが」と言えます。

「○○なのに××」という評はどんな物事にも使われる定型として市民権を得ています。こってりなのにあっさりとか。でも私はこの表現があまり好きじゃないんですよね。

ですがなぜそれが定型として多用されるかわかりました。確かにこの表現が的を射ている事は多いかもしれません。それは本作にも言える事です。

ライトなのに重厚、良く練られた深い話でありながら読みやすい。シリーズで書かれる学生を登場人物に据えた青春ものとはまた違う、新たな魅力が詰まった一冊です。おすすめ。

米澤さん、古典部シリーズももちろんですが小市民シリーズの新刊もお待ちしています!

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