最新ブログ ネタバレあり、古典部シリーズ氷菓の最新作「いまさら翼と言われても」感想・レビュー


ネタバレあり、古典部シリーズ氷菓の最新作「いまさら翼と言われても」感想・レビュー

古典部シリーズ氷菓の最新刊「いまさら翼と言われても」を読んだので感想とレビュー。短編集ですが、新作であり表題作でもある「いまさら翼と言われても」のラストはちょっと切ないですね。奉太郎や千反田のこれからはどうなるのでしょうか。ネタバレは全開です。

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古典部シリーズ氷菓の最新作「いまさら翼と言われても」感想・レビュー

待ちに待った氷菓の新刊が出ました。米澤穂信先生の古典部シリーズと小市民シリーズはトリックが大仰ではなく人も死なない、いわゆる日常の謎系に分類されるライトミステリー。

1作目の「氷菓」、2作目の「愚者のエンドロール」、3作目の「クドリャフカの順番」、4作目の「遠まわりする雛」、5作目の「ふたりの距離の概算」、そして6作目が「いまさら翼といわれても」。6年ぶりの新作です。

予約段階でKindle版が出ておらず、お届け予定日も数日遅れると書かれていたので本屋でハードカバーを買ってきてしまいました。その後Webを見たらKindle版も同時に発売されている始末。。まぁKindle版も買いましたけど。

 

箱の中の欠落

里志の話。生徒会選挙で票数が水増しされた謎解きを奉太郎に依頼する。

登場人物(固有名詞)が奉太郎と里志以外に出てこない割に、バレンタインの時のように里志の人生観やポリシーを深掘りするわけでもなく、女の子チームがいないせいかやや退屈な話でした。

人の数とか箱の数とか教室の数とか、数学的と言うほどではないですが想像しにくかったのが理由かもしれません。お姉さんの手紙には何かあるなとは思っていましたが検討もつかなかったです。

最初1かと思ったら太字っぽくてよく見るとIだったので、クラスを表すにはちょっと不自然でさすがに何かしらの意図が込められているとは思ったのですが。

 

鏡には映らない

摩耶花の話。中学校時代の卒業制作に手を抜き、戦犯となった事件に起因する奉太郎に対してのネガティブなイメージは間違いだったのではないかと摩耶花が謎解きをする。

なかなかブラックな話を気の利いたオチで終わらせてあります。男二人がうやむやにしようとわかっているから絶対にそうはさせない、摩耶花の性格の良さ(逆に言えば今まで誤解を元に嫌っていたフシさえあった黒さ)が良かったです。

でもなんだか腑に落ちない事もあります。実際に奉太郎と麻美が付き合っていたとは思えませんが、奉太郎はさして親しくもないクラスメイトに対して「アサミ次第だな」なんて意味が通じない事を言うでしょうか?すでに話を通している里志ならともかく。

奉太郎が特定の女子を名前で呼ぶはずがありません。当然本来はフレームの「ASAMI」という文字列の事で、意味が通じないからこそ人物の麻美だと誤解されてしまった。意味が通じない核心をさらけ出すよりも、適当に煙に巻くのが奉太郎だと思っていましたが。

という事はもしかして本当に麻美と奉太郎は付き合っていたのでしょうか。でもそれにしては奉太郎の描写がやたら淡白ですし、そもそも奉太郎は付き合っていたとしても女子を名前では呼ばないでしょうね。千反田と付き合ったらぜひ「える」と呼ぶ奉太郎を見たいですが。

「会って話したら、嫌いになるでしょ?」という言葉は、自分がされていたであろうイジメをそのままのやり口で(里志が手配したネームプレートによりむしろパワーアップさせて)返した事に、それ自体は悪手であり、結果的に奉太郎も亜美も同じ黒さを持っていると気づいているから出た言葉だと思います。

 

連峰は晴れているか

奉太郎の話。アニメでマンガで何度も見ました。結構好きです。中学時代の教師の何気ない言葉を思い返した奉太郎が、思うところがあって図書館に調べ物にいくのに千反田がついていく。アニメだとやたら千反田が可愛かったのを覚えています。

最後に千反田は何を言いかけたのか。当然それは「優しい」とか「真摯」とか「誠実」とか「思慮深い」とか好意的で肯定的な言葉だったのでしょうが、それが本当に適切な言葉なのか考えがまとまらなかったのかもしれません。

あるいはそうした言葉達が、過去の事件が悲しい結末に終わった事がわかったこの場にそぐわないと考えたのか。キャラクターに魅力のある物語はこういう部分を想像するのが楽しいですね。

 

わたしたちの伝説の一冊

摩耶花の話。漫研を辞めた理由が語られる回です。時系列的にはふたりの距離の概算の前あたり。1年生の終わりから2年生の始まりまで。米澤穂信先生が好んで使う「深層」という雑誌名に元ネタはあるのだろうか。シン・ソーって。

ミステリーというよりかなりキャラクターに寄った話ですが凄く良かったです。河内先輩はクドリャフカの順番以来二度目の登場。タッグ展開は激アツでしたね。少年マンガかと思うほどの熱量。奉太郎の走れメロスの感想文は話の都合上のネタとしてだけではなく単純に面白かったですね。

義理を欠けない摩耶花とそれを見越して時間稼ぎをした河内先輩。特に摩耶花回で顕著になる印象がありますが、相手の性格や性質を考えてキャラクターが行動しているのがいいですね。最高だったのがこのセリフ。

折木だったら、たしかにもっと筋道立てて考えるのかもしれない。でもわたし、折木の方がよかったなんて思わない。……ありがとう。

 

長い休日

奉太郎の話。「やらなくてもいいことならやらない。やらなければいけないことなら手短に」というモットーがなぜ生まれたのかが明らかになる話。

これを読むだけで今までのエピソードの印象が変わってくる、キャラクターに大きな変化がある回でした。全編に関わってくる話なので一応ネタバレはやめておきます。

元々折木姉は氷菓におけるデウス・エクス・マキナの位置にいて、シリーズによっては発端にも解決のヒントにもなる反則スレスレの存在でしたが、このエピソードでは話に大きな深みを与えてくれる重要な役どころでしたね。

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いまさら翼といわれても

表題作にして千反田・奉太郎の話。地域の合唱祭でソロパートを歌う千反田が行方不明になり、摩耶花からそれを知らされた奉太郎が助けに向かう。

場面場面でヒントを得ながら解決に向かう様はいつも通りですが、そこに至る過程も結末も今までの氷菓シリーズとは毛色が違います。何とも言えない重苦しい読後感を連れてきました。

氷菓の言葉を借りるならそれこそ責任は何等分にもされていたわけです。捜索には摩耶花はもちろん里志も加わり、常識的には合唱団の問題以外のなにものでもありません。善意の協力者として一枚噛んだからと言って、等分どころか責任自体が存在しません。

省エネをモットーとする折木奉太郎は言わずもがな安楽椅子探偵。でも奉太郎は家から出て文化会館に駆けつけ、下手をすれば負わなくていい責任を負うハッタリをかましてまで千反田を迎えに行った。

その理由が千反田がきつい思いをしているから。しかもその思考の過程に奉太郎自身がほとんど疑問を抱いていない。これが「長い休日」の流れを汲んでいる事を考えると目頭が熱くなってきます。

もちろん灰色はいきなり薔薇色に変わるわけではないでしょうが、それでも奉太郎の休日は確かに千反田が終わらせてくれたんだなぁと。

描かれていないシーンも多いですが、最後の一文の暗示を見るに千反田は文化会館に戻れなかったのでしょう。それを前提に考えると、奉太郎のハッタリはそれ自体は目論見通りだったとは言え結果的に裏目に出てしまった。

千反田が見つかったのだからもう代役を用意する必要はないと段林さんが考えるのは自然であり、合唱祭は失敗に終わる可能性も十分にあります。うまくいったとしても彼女の性格から言って奉太郎が責められるのは間違いありません。

もちろん千反田は、奉太郎が合唱祭の内情にまで関わるような発言をした上で駆けつけていたと知ったなら、千反田家の跡取りとして責任を果たすためではなく、折木奉太郎の友人として何を差し置いても戻ったはずです。

でもそうはならなかった。千反田は弱音を吐き、奉太郎はそもそも千反田が戻らないと自分が責を負う事を言わなかった。突然の自由に戸惑った千反田、休日が終わった奉太郎。

境遇、立場、背負ってきたもの。それが千反田を苦しめている事実を目の当たりにして破壊衝動すら覚える奉太郎。ずいぶんと青春していると思いますよ。いやー面白かった。

合唱祭のその後や詳細は次回作で語られるのかどうかわかりませんが、キャラクターの関係性や未来への道筋の大きなターニングポイントとなる巻でした。

あー次の巻を早く読みたい。良い作品って、とにかく早く続きが読みたくなったり終わった後もキャラクターのその後が気になったりしますよね。

 

氷菓はメディアミックスが秀逸な作品

古典部シリーズ氷菓は原作だけでなくメディアミックス作品も素晴らしい出来です。すでに京都アニメーションによりアニメ化、タスクオーナさん作画によりマンガ化されており、2017年には山﨑賢人・広瀬アリスのW主演で実写映画化が決まっています。

そもそも私が氷菓にハマったのはアニメが最高に面白かったからで、原作を読んでから改めてその完成度の高さに驚きました。

ただ一点引っかかったのが文集を見つけた時に摩耶花が「何よこれ、創刊号だけ欠けてるじゃない」と言うシーン。あの時点では創刊号が欠けているという事実が示す意味を摩耶花は知らないはずで、それにしては声が随分と大げさだった記憶があります。細かいですが。

現在10巻まで刊行されているマンガも素晴らしい出来です。タスクオーナさんの絵がうますぎる(Fate Zeroのコミカライズも描いておりこっちも最高)。

漫画という媒体のメリットを最大限に活かし、ともすると説明的になりがちな展開を非常に読みやすくまとめています。掲載誌が月刊の少年エースであり丁寧に描かれているので進行が遅いのが残念ですが…(10巻の時点でようやくクドリャフカの順番が完結)

原作ではなくアニメをベースに構成されており、OVAに収録されたオリジナルエピソードの「持つべきものは」もマンガ特別版として収録されています。登場人物やトリックが別のものになっており、これもファンには嬉しかったですね。Kindleで買えますよ。

 

小市民シリーズもおすすめ

氷菓が好きな人は「小市民シリーズ」もおすすめ。小市民を目指す主人公・小鳩常悟朗が、同志でありながら復讐が趣味のロリっ娘ヒロイン・小佐内ゆきに振り回される物語です。奉太郎よりもさらに、捉えようによっては鬱屈とまで言えるポリシーを二人が掲げる理由はなんなのか。

春期限定いちごタルト事件・夏期限定トロピカルパフェ事件・秋期限定栗きんとん事件(上下巻)の3シリーズ4巻が刊行中。スイーツなタイトルからは想像できないヘビー展開が楽しい作品です。

特に夏期限定トロピカルパフェ事件はシナリオとキャラクターの魅力がハイレベルに融合している傑作だと思いますがかなり凹みました。あんな形でどんでん返しがあるとは…

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